ベストセラーになっている「伝え方が9割」という本。
市の図書館にあったので読んでみました。
伝えることは「技術」。
今回この本を読んだ目的は「読んでもらう文章を書くこと」だったのでその観点から感想を書かせていただきます。
私は昔から作文や感想文を書くことが苦手でした。
自分には才能がないのだとずっと思ってきました。
けどこの本を読んで、書けないのは「書き方を知らないから」だということに気づかされました。
伝えるというのは技術なのだそうです。
誰にも必要な技術。
けれど学校では教えてくれません。
授業でも作文や感想文を書くのに、原稿用紙の使い方を教えたらあとはただ「書け」というだけ。
学校側は教えられる人がいないか「成長の過程で勝手に身につくもの」だと思っているのかもしれません。
良い言葉や文章に出会えたら多分勝手に身につくんだろうけど、世の中そんな運のある人ばかりではない。
だからみんな困ってるんですよね。
だから文章の作り方の本が売れるんですよね。
そこで、伝えることを「技術」として伝わる言葉の作り方を紹介しているのがこの本です。
著者がコピーライターということもあり、一言でインパクトを与える一文(以下、強いコトバ)の作り方が載っています。
本の内容をざっくり挙げると、「お願いの仕方」が3割、「強いコトバの作り方」が5~6割、おまけ程度に「長文を読んでもらう方法」が1~2割という感じ。
言いたいことをうまくまとめて伝わる文章を作る方法が知りたくてこの本を読んだので、そういう点では的外れではありました。
パッと目を惹く言葉を作りたい、という人に向いている本ですね。
しかし「強いコトバの作り方」と「長文を読んでもらう方法」は文章を書く上で役立つと思います。
なにより、伝え上手は才能で決まるものでないということが分かってよかった。
頑張ろうという気持ちが湧いてきました。
そういう点では、文章作りに悩んでいる人は誰でも一度読んでみることをオススメしたい本でもあります。
以下、印象に残った部分を紹介します。
強いコトバの作り方
人の心を動かす「強いコトバ」を作る方法は5つ。
- 「!」など興味をひくワードを入れるサプライズ法
- 伝えたいことと反対の言葉を入れるギャップ法
- 赤裸裸な言葉で体温を感じさせる赤裸裸法
- 言葉を繰り返すことで相手の心に刷り込むリピート法
- 限定感を出してこちらの話に集中させるクライマックス法
この中でブログなどの長文に取り入れやすそうだと感じたのは2.ギャップ法と3.赤裸裸法です。
ギャップ法
一言でいうと「ヤンキーがちょっと良いことをするとすごくいい人に見えるアレ」です。
スタート地点を下げることで、伝えたいことをより良く見せられるというのが「ギャップ法」です。
作り方は以下の通り。
①最も伝えたいコトバを決める。
②伝えたいコトバの正反対のワードを考え、前半に入れる。
③前半と後半がつながるよう、自由にコトバを埋める。
これに倣って文章を作ってみました。
原文:私は猫が好きです。
「猫が好き」の反対は「猫以外の動物が嫌い」となります。
嫌いは言いすぎかな。「興味がない」にします。好きの反対は無関心。
変更後:私は他の動物に興味がなくなるくらい猫が好きです。
どうでしょう。
ギャップ法を使った方がいかに猫が好きか伝わる気がします。
他と比べる行為は、時にその「他」が好きな人を不快にさせてしまいます。
この本では正反対の言葉を入れると書かれていましたが、不特定多数が見るブログでは加減が必要かなと思います。
赤裸裸法
続いて3の赤裸裸法では、伝えたい事と一緒にその時の体の状態も言葉にします。
そうすることで、伝えたいことをよりリアルに感じ取ってもらえるそうです。
①最も伝えたいコトバを決める
②自分のカラダの反応を赤裸裸にコトバにする。
③赤裸裸ワードを、伝えたいコトバの前に入れる
赤裸裸ワードとは、先ほども書いた「体の状態」等のことです。
原文:明日の旅行が楽しみだな。
この一言を、赤裸裸法を使ってもっと楽しいという気持ちを伝えてみます。
まず、旅行が楽しみなとき、体はどんな状態かを考えます。
胸がドキドキしている。
目が冴えて眠れない。
そんな状態をそのまま、伝えたい言葉の前にくっつけます。
変更後:目が冴えて眠れない。明日の旅行が楽しみだな。
ちょっと変わりましたかね。
慣れてないと難しいかな^^;
この他3つの方法も、使い方次第で大きな力を持つ強いコトバを作ることができると思います。
どれもひとつひとつは短い文章でしたが、長文の中で使う場合は「ここ!」というところにだけ使うことでその効果を発揮できると書かれていました。
タイトルや見出しに使っても良い、とのこと。
正しいことが正解ではない
最後に、個人的に印象に残っている部分をご紹介します。
「愛している」
「愛してる」
この2つのコトバを見てください。国語として正しいのは、「愛している」です。「愛してる」は「い」が抜けている口語で、教科書的には正しくありません。旧来からの日本語を大切にしている方々には怒られてしまうことを、これから言います。
この本での、正解は「愛してる」です。
それは、こちらのほうが相手の心に届くからです。心から大切に思う相手にそっと「愛している」と言ったとします。どこかまどろっこしくて、ちょっと教科書的で、本当のきもちが届かない感じがします。きもちを伝えるのには「い」という一文字が余計なのです。「愛してる」と言うと、すっと届きます。
コトバはもともと相手に届けるために作られたもの。どれだけ正しくても、届かなければ役割を果たしません。古き良き言葉を守る、ということを続けることはカンタンではありませんし、そんな方を私は尊敬します。でも言語というのは、変化しつづけるものです。現に平安時代にだって「最近の男女は、コトバづかいがあやしい!」と清少納言が枕草子にて嘆いています。言語は歴史がそうしてきたように、これからも変化しつづけるでしょう。
私は「ブログは文章を書くものだから」と、正しい日本語を使うように気をつけてきました。
本で書かれている「い」や、現代でよく指摘される「ら」も入れるようにして。
でも、確かに違和感を感じていました。
読み返していてなんか回りくどかったんです。
報告書や企画書など感情を入れる必要のない文章であれば正しさが求められるでしょう。
けれど、ブログや作文は人の気持ちを伝えるものです。(ライフハック系の記事でも書き手の気持ちは込められています。)
正しい言葉も大事ですが、まず伝わる言葉を書いていきたいと思います。
おぉ。
作文苦手なのにこんなに文章書いちゃった。